子宮頸がんワクチン公費接種の実施期間は2025年3月末までです。
2024年08月04日
子宮頸がんワクチンは定期接種のワクチンです。対象は小学校6年生~高校1年生相当の年齢の女性です。また、過去に接種機会を逃した女性に対してキャッチアップ接種が実施されています。対象は子宮頸がんワクチンの積極的な勧奨を際し控えている間に定期接種の対象であった1997年度生まれ~2007年度生まれまでの女性です。
キャッチアップ接種の実施期間が2025年3月末までであることはご存じでしょうか?2024年度に高校1年生相当の女性も、公費で接種できるのは2025年3月末までです。
子宮頸がんは子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんです。日本では年間約1.1万人が子宮頸がんにかかり、約2900人がなくなっています。30歳代前半から罹患率・死亡率ともに上昇し、若年層(20~30歳代)での罹患率が増加傾向にあるため、若い人も注意しなければいけません。
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、性交渉により子宮頸部に感染することが原因であるといわれています。HPVは皮膚にイボを作るウイルスで、100種類以上あります。このうち約15種類のハイリスク型とよばれるものが子宮頸がんを引き起こします。ほとんどは免疫機能で自然に排除されますが、一部が持続感染し、そのうちの一部の細胞が異常を起こし子宮頸部異形成という状態になります。子宮頸部異形成は、進行度の軽い順に軽度異形成、中程度異形成、高度異形成にわけられます。そして異形成の一部が数年から十数年かけて子宮頸がんにすすむと考えられています。
子宮頸がんを予防するためには、子宮頸がんワクチンが有効です。子宮頸がんワクチンを接種することで、一部のハイリスク型のHPV感染を防ぐことが可能です。2価ワクチン(サーバリックス)および4価ワクチン(ガーダシル)はHPV16型と18型に効果があり、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。9価ワクチン(シルガード9)はHPV16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型に効果があり、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。ワクチンはすでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果はないため、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。性交経験によるHPV感染があると、ワクチンの予防効果が減少しますが、まだ感染していない型の将来のHPV感染を予防できるため、性交経験がある場合でもワクチンの予防効果がなくなってしまうわけではありません。
日本では2013年に子宮頸がんワクチンが定期接種になりましたが、接種後の持続的な痛みや運動障害などの多様な症状が報告され、積極的な勧奨が控えられました。その後多様な症状が子宮頸がんワクチン特有の症状とはいえない、という国内外の調査結果から、安全性について特段の懸念が認められず、ワクチンの有効性が副反応のリスクを大きく上回るために、2022年から積極的な勧奨が再開しました。当院でも子宮頸がんワクチンを勧奨しております。
なお、子宮頸がんワクチンに限らず、予防接種法に基づくワクチン接種後に、痛みなどの多様な症状がおきた場合の対応として、接種との関係が不明でも、医療連携体制や相談体制および報告・救済制度が設けられています。
(MSD HPから抜粋)
子宮頸がんワクチンの一般的な接種スケジュールを示します。1回目の接種から接種完了までに6ヶ月かかります。公費接種の実施期間が2025年3月末までなので、2024年9月末までに1回目の接種を開始した場合、標準的な接種間隔で3回の接種を交付で完了することができます。公費適応の期間が過ぎてしまった場合は、自費接種となり、9価ワクチンであれば1回3万円の費用が発生します。
子宮頸がんワクチンの公費接種対象を過ぎた方も、ご希望があれば子宮頸がんワクチンを接種することが可能です。対象年齢を過ぎても、ワクチンの有効性はあり、海外では45歳までの女性に効果があると報告されています。(上記のように自費接種となります。)
当院ではまず外来で子宮頸がんワクチンの説明を聞いていただいた上で、ワクチン接種の日程を決めていきます。公費接種対象のかたは、2024年9月までに受診していただくようにお願いします。