全ての女性に知っておいてほしいこと。ライフステージでの変化。

2024年08月19日

女性の体は女性ホルモンの影響を受けやすく、一生涯を通じて大きく変化します。ライフステージにより心も体も変動するため、注意したい病気や症状・気を付けることが大きく変わります。ライフステージは下の表のように、思春期・性成熟期・更年期・老年期に分かれます。

思春期

思春期とは「女性においては第 2 次性徴出現から初経を経て月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう.年齢的には 8~9 歳頃から 17~18 歳頃までの間で,乳房発育に始まり,陰毛発生,身長増加,初経発来で完成する.」と定義されています。日本人女性の初経の平均年齢は12.3歳です。初経を迎え、女性ホルモンの分泌量が増えていく時期です。しかし月経が安定するには数年かかることがあり、月経トラブルもおきやすい時期です。また体や性の知識が少ないと、予期しない妊娠や性感染症のリスクが高まります。

性成熟期

女性ホルモンが安定していて、妊娠や出産に適した時期です。就職・結婚・出産・子育てと人生の中で大きなできごとをむかえる時期であり、同時に社会的な責任を果たさなければいけない場面が増えてきます。さまざまな女性特有の病気が増えるのもこの時期ですので、普段の健康管理に気をつけ、定期的な検診をうけることで健康な体を維持しましょう。健康であれば、選択できる仕事・結婚・出産などのライフプランが増えるでしょう。

更年期

更年期とは、閉経(閉経の日本人平均年齢50.5歳)の前後10年間の、心身の不調が現れやすい時期です。卵巣から分泌される女性ホルモンは、20~30代でピークを迎えますが、40代に入ったころから急激に低下し始めます。これにともなって、さまざまな身体的、精神的症状が現れるのが更年期障害です。女性特有の悪性疾患や生活習慣病のリスクも高くなるので、定期的な検診をうけることで健康な体を維持しましょう。また子供の独立・親の介護・パートナーとの関係など、環境の変化も起きやすい時期であり、心も不安定になりやすいです。

老年期

女性ホルモンの分泌が停止し、体のさまざまな老化が進みます。いままで以上に普段の健康管理に気をつけ、定期的な検診をうけることで健康な体を維持しましょう。女性ホルモンが急に減ることで骨がもろくなり、骨粗鬆症のリスクが上昇します。骨量は幼少期から増え続け、20~30歳代をピークに自然に減ってきて、特に女性は50歳前後から急激に減少します。加齢や閉経により、「骨吸収」が「骨形成」を上回り骨密度が低下し、骨粗鬆症が起こります。筋肉量が減りだす老年期に骨折することで、心身がさらに衰えてしまいます。将来骨粗鬆症にならないために、骨量が最大値になる20歳頃までにしっかり運動し、バランスのよい適切な栄養を摂取することにより、最大骨量(ピークボーンマス)を増やすことが重要です。運動不足や過度なダイエット、偏食でピークボーンマスが低くなる場合もあるため、若いうちから生活習慣を整えましょう。

前回の子宮頸がんワクチンに関するブログは読んでいただけましたでしょうか?子宮頸がんワクチンは将来への投資であり、若年での接種が推奨されています。骨量が最大値になる20歳頃までに最大骨量を増やすこと、これも将来への投資です。自分の体のことを知っておき、これからの長い人生を健康で快適に過ごしましょう。次回からは、それぞれのライフステージで気をつけておきたい疾患について、お話ししようと思います。