令和6年10月からX線骨密度検測定装置を導入しました。
2024年10月27日
令和6年10月からX線骨密度検測定装置を導入しました。レントゲン室の工事に伴い、9月末に受診されたかたは工事の騒音が気になったかと思います。御協力いただき、ありがとうございました。
今回導入した機械は「ALPHYS LF」という、腰椎・大腿骨用のX線骨密度測定装置です。DEXA法という、日本骨粗鬆学会のガイドラインにおいても推奨されている検査方法で、腰椎と大腿骨頸部の骨密度を測定します。DEXA法とは、二種類の量の異なるX線を照射して骨密度を測定する検査方法で、骨密度測定の中でもこの方法が最も信頼が高いとされています。X線の量はきわめて少なく、動かないようにするだけで撮影でき、痛みを伴わず息止めも必要ありません。
骨量は骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量で、骨密度は単位面積当たりの骨量のことです。骨は、骨芽細胞が新しい骨を作り出す「骨形成」と、破骨細胞が古い骨を吸収する「骨吸収」がバランスよくおこなわれることで、強く健康な状態を保っています。「骨形成」にはカルシウムと、腸管からのカルシウム吸収を促進するビタミンD、骨代謝を促すビタミンKなどが必要です。骨量は男女ともに幼少期から増え続け、20~30歳代をピークに自然に減ってきて、特に女性は50歳前後から急激に減少します。加齢や閉経により、「骨吸収」が「骨形成」を上回り骨密度が低下し、骨粗鬆症が起こります。骨粗鬆症になると、骨がもろくなり、骨が折れやすくなります。
骨粗鬆症は、全体の約8割を女性が占めています。その主な原因は、エストロゲンという女性ホルモンにあります。エストロゲンは破骨細胞による「骨吸収」をおさえる働きをしています。女性は閉経の前後、特に閉経直後からエストロゲンの量が急激に減少します。このため閉経により「骨吸収」が「骨形成」を上回り、骨密度が低下し骨粗鬆症になりやすくなるのです。
エストロゲンが急激に減少するのは、通常は閉経後ですが、ストレス・過度な運動・極端なダイエットによる月経不順、婦人科疾患や乳癌での女性ホルモン抑制療法でもエストロゲンは低下します。偏った食事や過度な飲酒、喫煙も骨粗鬆症の原因になります。
エストロゲンが低下する時期に、骨塩減少をチェックできる診療科としては、婦人科が最も適しているといえます。なぜなら、婦人科には多くの女性が女性ホルモンの悩みで来院されるからです。(月経にまつわる症状や、月経前症状や更年期症状、閉経後の外陰部の萎縮の症状など。)
骨折が起こってはじめて骨粗鬆症の治療を開始するよりも、骨粗鬆症を早期発見・早期治療することが大事です。一旦減少した骨量を増やすのは難しいため、減らさないようにすることが重要であり、そのためには現在の自分の骨密度を知っておく必要があります。40歳~50歳の方で「骨粗鬆症は高齢者の疾患」と認識されている方が多いですが、エストロゲンが低下するにつれて、徐々に骨密度は減少していくため、40歳ころから気を付けなければいけません。女性ホルモンによる症状を取り扱う婦人科である当院で、早期発見ができるようにという思いから、骨密度測定機器を導入した次第です。女性医学の観点から、女性の健康管理をサポートできれば幸いです。