妊娠を考えはじめたら基礎体温を測定してみましょう
2025年01月02日
未婚のかたも既婚のかたも、将来の妊娠を考えはじめたら、ぜひ自分の月経サイクルを知っておくことをお勧めします。月経サイクルを知るツールとして、基礎体温があります。もし基礎体温が理想的なパターンになっていなくても、心配しないでくださいね。一周期が理想的なパターンでなくても、毎周期同じとは限りません。3周期まず測定してみましょう。今回のブログでは、基礎体温について説明します。
基礎体温とは、起床すぐに婦人体温計を口に含み、舌の下の体温を計測したものです。起き上がったり、動いたりせずに、測定します。そして毎日継続して結果をグラフに記入し、線でつなげたものを、基礎体温表といいます。毎日同じ時刻に測るのが理想的ですが、4時間以上の睡眠の後が体内の代謝活動が最も低くなるので、4時間以上寝たあとに測定することが望ましいです。測り忘れた日は、グラフの線をつなげずに、その日は空欄にしておきます。
排卵後には、プロゲステロンという女性ホルモンの血中濃度が上昇し、基礎体温が約0.4℃上昇します。このため排卵がある月経サイクルでは、基礎体温は二相性パターンになります。
測定と同時に体調やおりものの変化を記載します。排卵前にはおりものの量が増えます。においはあまりせず、卵の白身に似た糸を引くようなおりものが、2~3日間続きます。このおりものを頸管粘液といいます。女性ホルモンの一つであるエストロゲンが増加すると、頸管粘液も増えます。排卵前はエストロゲンが増えるため、頸管粘液も増えるのです。しかし排卵していなくてもエストロゲンが増える状況もあるため、頸管粘液が増えたことだけで、排卵周期があるとは言えません。
基礎体温は、排卵の有無や、月経開始から何日目くらいに排卵しているかなどの月経パターンを推測したり、プロゲステロン量を推測することができます。しかし、未来の排卵日を確実に予測することは難しいです。基礎体温を何周期も測定して、そのパターンが一定であれば、頸管粘液を確認しながら、ある程度の排卵日を予測することが可能です。
基礎体温表を管理するツールとしては、アプリでも紙のグラフでも問題ありません。ただ数ヶ月の体温変化が一視野で確認できるほうが、視覚的に判断しやすいです。スマートフォンの大きさでは、温度の変化がわかりにくく、排卵周期であるかどうか不明瞭な場合があります。はじめて基礎体温をつける場合はとくに、性器出血の量、体調の変化やおりものの変化、性交があった日なども書き込んでいただきたいため、紙のグラフを使用することをお勧めしています。紙のグラフは数ヶ月書き込めるノート形式の市販品もあれば、ダウンロードして数ヶ月書き込める印刷用紙でも問題ありません。月経が始まった日が1日目です。「1」と記載してください。翌日は「2」、翌々日は「3」と数字を記載します。次の月経が始まったら「1」に戻り、それを繰り返します。周期がかわっても、連続で記載してください。新しいページや、新しい印刷用紙に記載しないでください。
3ヶ月基礎体温表を記載して、排卵が確認できれば安心材料になると思います。よく基礎体温表がガタガタで心配とおっしゃるかたがいますが、問題なしのケースが多いです。少しでも心配要素があれば、子宮がん検診のついででもいいので、ぜひ外来に持参してください。
すでに不妊治療を始めているかたは、基礎体温表は絶対的なツールではありません。基礎体温測定がストレスというかたもおられますし、私も無理して測定する必要はないと思います。ストレスでなければ、不妊治療中も補助的に確認できる意義が大いにありますので、測定を継続してくれるとうれしいです。